北朝鮮 制裁強化よりも人道支援を!

 私は『週刊金曜日』 8月19日号で、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)による核実験が近く行われると予想した。核・ミサイル技術を完成させるために、連続的に実験は実施されると確信していたからだ。

 8月26日に北朝鮮取材から戻り、 TVでの特集制作に集中。9月9日の「建国記念日」に合わせ、二つのニュース番組の中で放送することになった。この日の核実験実施で放送は「タイムリー」になったものの、特集のトーンは変わってしまった。

 いつものように新聞社からはコメントを求められ「日本を含め、国際社会が早期に北朝鮮との外交交渉に乗り出すことが必要」などと話す。翌日の朝刊には、8月に撮影した写真とともに大きく掲載された。

WFP平壌事務所
「世界食糧計画」の平壌(ピョンヤン)事務所(2004年10月撮影)

 現在この核実験に対し「国連安保理」は、さらなる制裁強化のために動き出している。また日本政府も、独自制裁の強化を発表。日本がすでに実施している制裁は「ヒト・モノ・カネ」である。「モノ・カネ」については、出来ることはすべて実施しているためにこれ以上を厳しくすることは不可能。そのため「ヒト」の往来をさらに制限しようとしている。

 自民党は「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)」 幹部の再入国禁止対象を拡大する方針を固めた。北朝鮮に対しては出来ることがないため、「北朝鮮制裁」という名のもとで、またしても在日朝鮮人への「八つ当たり」である。

 これは筋違いというだけでなく、重大な人権侵害である。日本で生まれて日本に家族や生活がある在日朝鮮人であっても、北朝鮮へ行ったならば日本へ戻ることを認めないというとんでもない措置だ。これは、日本の民主主義を大きく後退させる行為だ。北朝鮮を懲らしめるためには何をやっても構わない、という今の日本の政治・社会やマスメディアの風潮は極めて危険である。

 北朝鮮の北部では、台風10号による大洪水によって甚大な被害が出ている。 国連の「世界食糧計画(WFP)」は、 14万人余りの被災者に緊急食糧支援を実施。国際社会に対し、継続的な支援を呼びかけた。

ところが岸田文雄外相は14日、核実験や弾道ミサイル発射を理由に、現時点で支援を行う考えがないことを表明した。「敵」には塩を送らないということのようだ。

 しかし北朝鮮と重要課題を解決しようと本気で考えているならば、その話し合いの雰囲気をつくるのためも、この災害に対する人道支援を実施すべきではないか。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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