北朝鮮とオバマ政権の「核先制不使用」宣言

 米国・オバマ政権は、爆発を伴う核実験の禁止を呼びかける「国連安全保障理事会」決議案を提出する方針だ。また、核兵器を先に使わないという「先制不使用」の宣言なども検討しているという。

銀河3号模型
「未来科学技術殿堂」に展示されている「銀河3号」の模型(2016年6月1日撮影)

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が核兵器とその運搬手段である弾道ミサイルを開発してきたのは、米国による核を含む先制攻撃を防ぐことが最大の目的である。

 米国は北朝鮮に対し、核攻撃を行おうとしたことがある。1968年1月に、米国の情報収集艦「プエブロ号」が朝鮮人民軍に拿捕された。米国は北朝鮮に核兵器を使用しようとしたが、自国にまで被害が及ぶとして韓国が反対。使用される寸前で中止された。

 今年5月に開催された「朝鮮労働党」の第7回党大会で、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は次のように述べている。

 「わが国は責任ある核保有国として、核を保有する敵意ある攻撃的な国によって主権が侵略されない限り、核兵器は使用しない。われわれはすでに宣言している通り、核不拡の義務を忠実に果たし世界の非核化に努める」

 このように核兵器の先制不使用を明言しているのだ。つまり米国によって攻撃・侵略されない限り、核兵器は使用しないということだ。ましてや、核保有していない日本や韓国に対する核攻撃はあり得ない。日本のマスメディアはこの事を伝えず、核・ミサイルを「脅威」として煽り立てている。

 残りの任期が半年を切ったオバマ政権であるが、米国が核の「先制不使用」を宣言すれば、朝鮮半島の緊張緩和が大きく進む可能性がある。

 ところが、オバマ政権のこの動きの足を引っ張っているのが日本政府である。米国の「核の傘」で守られている日本は、北朝鮮や中国への抑止力が低下することを懸念しているというのだ。

 安倍政権はそればかりか、「日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべき」(「正論」2011年3月号)と主張した稲田朋美氏を防衛大臣に任命した。

 唯一の原爆被爆国の首相が、核廃絶へ向けてのささやかな流れさえ押しとどめようとしている。広島・長崎の被爆者たちの苦しみ・悲しみ・怒りを受け止めているのなら、こうした愚かなことはできるはずがないのだが。

―――――――――――――――――――

(8月17日追記)

 8月15日の米国「ワシントン・ポスト」によると、オバマ政権が検討している核兵器の「先制不使用」政策に対して、安倍首相がハリス米太平洋軍司令官に反対の意向を伝えていたことが明らかになった。北朝鮮への抑止力が弱体化するというのが理由だ。

 朝鮮半島の安定と平和へ重要な役割を果たすであろう政策を潰そうとする安倍政権。「戦争ができる日本」にするためには、「北朝鮮の脅威」がなくなっては困るのだろう。

e_04.gif
関連記事
広告
広告
広告
プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: