北朝鮮 安保理制裁では非核化は実現できない

 25日の国連安全保障理事会で、米国と中国が合意した北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)への追加制裁決議案の草案が回覧された。中国が米国案に沿った強力な制裁に同意したのは、米国による高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備の延期と引き換えにしたからだ。制裁案のおもな内容は次のようである。

平壌の街並
平壌の街並(2015年6月27日撮影)

●北朝鮮への航空機・ロケット燃料の輸出禁止
●北朝鮮からの石炭・鉄鉱石の輸入制限と、金・チタン・レアアースなどの輸入禁止
●北朝鮮を出入りする貨物の検査の義務化
●北朝鮮との小型兵器を含む兵器の取引禁止
●渡航禁止・資産凍結対象に北朝鮮の12機関・個人17人を追加
●不正に関わった北朝鮮外交官の国外追放

 中国の意向で、安保理制裁は北朝鮮住民に影響を与えるものではないとしている。だがこの制裁に対し国連の「人道問題調整事務所」のギング局長は、北朝鮮は物資不足で深刻な人道状況に陥っているとして十分な配慮を求めた。北朝鮮経済が悪化すれば多くの餓死・凍死者が出るのは過去をみれば明らかだ。

 3月に実施される最大規模の米韓合同軍事演習では、北朝鮮内陸部の核・ミサイル施設を破壊するための訓練が強化される。米国は1994年に、寧辺(ヨンビョン)の核施設への爆撃を実施しようとしたことがあり、この演習は脅しではなく実際の攻撃につながる可能性がある。

 そして韓国内では、元軍人や閣僚経験者からそれらへの攻撃が必要との声が出ているという。またいくつものマスメディアが、韓国の核兵器保有を主張するようになっている。この安保理制裁によって、大規模な軍事衝突や全面戦争の危険性が確実に高まろうとしている。

 中国の王毅外相は17日、朝鮮半島の非核化とともに朝鮮戦争の休戦協定を平和条約に変えることを同時に進める協議を提案した。朝鮮戦争が終結しておらず、北朝鮮が極めて不安定な状態に置かれてきたことが、現在の状況を招いているからだ。

 ところが米国のラッセル国務次官補は26日、北朝鮮に対しては平和条約交渉よりも非核化を最重視していると表明。中国の意向に反して、米国だけでなく日本・韓国も制裁一辺倒で突き進もうとしているのだ。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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