北朝鮮核実験② 核開発を止めることはできる!

 1月6日に核実験を行った北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対し、力による対抗措置が進行している。

 韓国政府は、軍事境界線での宣伝放送を再開し、米国は10日に核弾頭を搭載できる戦略爆撃機B52を韓国上空で飛行させ、横須賀基地を母港とする原子力空母「ロナルド・レーガン」を派遣しようとしている。

咸鏡北道銅像
核実験が行なわれた咸鏡北道(ハムギョンブクド)にある最高指導者の銅像(2015年6月19日撮影)

 そして「国連安全保障理事会(安保理)」は、追加制裁のための決議の検討に入り、米国や日本などは独自の強力な追加制裁を実施しようとしている。

 日本政府は「ストックホルム合意」によって解除した一部の制裁を復活させるばかりか、自民党案の実施を検討している。「人道目的」の10万円以下を除いた送金の原則禁止や、朝鮮総連の中央常任委員会・中央委員会の委員と核・ミサイル技術者の再入国禁止、そして朝鮮学校への地方自治体による補助金支出の全面停止を指導するといった内容である。

 この自民党案は、北朝鮮ではなく在日朝鮮人を標的としたものだ。北朝鮮そのものへの制裁が困難であるため、日本国内で暮らす朝鮮人を代わりに攻撃するというとんでもない措置だ。こうした差別的で非人道的な政策は、日本の民主主義を大きく後退させることになる。

 米国・日本や韓国は、中国に対し北朝鮮への実効のある制裁を強く求めている。13日に韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、制裁強化には「中国の役割が重要」として中国の積極的関与を強く求めた。また同日には「6カ国協議」の日米韓代表が緊急会合を開き、「安保理」での強力な制裁決議採択のために中国とロシアに協力を求めると表明。

羅津港
羅津(ラジン)港での、ロシアからの石炭の積み出し作業(2015年6月23日撮影)

 日米韓の中国頼みは、北朝鮮の貿易額の約90パーセント以上を占める中国が動かない限り、実効ある制裁ができないと考えているからだ。だが、中朝貿易によって中国も大きな利益を得ている。そしてロシアは、積極的な投資を始めたばかりである。中国とロシアが、制裁強化に積極的な協力をすることはあり得ない。

 そもそも制裁というものは、エスカレートしていけば軍事衝突に発展する可能性があるだけではなく、政治的・外交的解決を放棄することになってしまう。

 米国は実験として広島・長崎という都市へ原爆を投下したが、どの核保有国も敵対する国からの軍事攻撃を抑止する手段として核兵器を開発・保有してきた。

 朝鮮戦争が休戦状態の中で、北朝鮮は米国からの軍事攻撃の脅威を受け続けてきた。米国・韓国は毎年、休戦ラインに近い場所で大規模な合同軍事演習を実施しており、それがそのまま北朝鮮への攻撃になる可能性が十分にある。そのため、北朝鮮は「自衛的措置」として核開発を進めてきた。

 そもそも米国とその「同盟国」は、「核拡散防止条約(NPT)」で核保有を認められた米国・ロシア・中国・フランス・英国だけでなく、インド・パキスタン・イスラエルの核兵器を容認している。

 それらの国の核弾頭の数は少なくても1万6000発以上にもなる。にもかかわらず、北朝鮮の核保有は認めないという二重基準を取り続けている。

 「6カ国協議」は、2005年には北朝鮮の核兵器開発の放棄で合意して「共同声明」を出すなど進展はあった。だが、その後も北朝鮮の核放棄が先決とする米国の姿勢が変わらず協議は暗礁に乗り上げた。

 北朝鮮政府が1月6日に発表した声明は「米国の朝鮮敵視が根絶されない限り、核開発中断も、核放棄もあり得ない」としている。北朝鮮の核開発を止めるのは、難しいことではない。米国が、朝鮮戦争の「休戦協定」を「平和条約」にすれば良いのだ。

 このように簡単で正当な解決策を米国が頑なに拒み続けている理由は、朝鮮戦争で北朝鮮に勝つことができず、「プエブロ号事件」で大きな譲歩をして屈辱を味わったからだ。米国のプライドのために、東北アジアの安定と平和が脅かされてきた。

 そしてこうした屈折した米国の対北朝鮮政策に、日本などの「同盟国」は追随してきた。またマスメディアも、この政策を批判してこなかった。

 参加国のさまざまな思惑で左右されてきた「6カ国協議」での解決は困難だ。もはや米朝の直接交渉しか残されていない。日本・韓国・中国・ロシアがすべきことは、米国に対し北朝鮮との交渉の席に着くよう説得することである。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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