北朝鮮核実験① すぐに送られてきた日本語の「政府声明」

 1月6日午前10時30分(朝鮮時間午前10時)、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が4回目の核実験を実施した。

 「朝鮮中央テレビ」は午後0時30分(朝鮮時間正午)から「特別重大報道」として「水爆実験成功に関する政府声明」を放送。それによれば水爆実験だという。

声明日本語文書
「朝鮮対外文化連絡協会」から送られてきた日本語の「政府声明」

 「政府声明」がテレビで発表されてから5時間後の午後5時30分に、北朝鮮の政府機関から私あてにメールが送られてきた。それは「政府声明」の公式の日本語訳だった。

 こうしたことは今までにない異例の対応であり、あらかじめ訳文が準備されていた可能性が高い。この核実験は、さまざまな周到な準備の上に実施されたのは確かだ。

 この核実験によって、東アジアの安定は遠のくだろう。日本政府は、一昨年に解除した人的往来・送金の規制を再実施するなど制裁強化をただちに表明。拉致問題を含む「日朝合意」の履行はさらに先が見えなくなった。

 北朝鮮へは、関係改善を模索していた中国・韓国だけでなく、多くの国からの厳しい対応が予想される。海外からの投資や観光客は極端に減るだろう。徐々にではあるが確実に発展していた経済は、大きく減速すると予想される。

 そうした極めて大きなダメージを承知で、核実験は実施された。マスメディアや「北朝鮮専門家」たちは、この核実験実施が唐突であるとする。だが大きな視点から見れば、この時期に行われた理由が分かる。

 「政府声明」では核実験実施の理由を明確に述べている。

 わが共和国が行った水爆実験は、米国をはじめとする敵対勢力の日を追って増大する核脅威と恐喝から国の自主権と民族の生存権を徹底的に守り、朝鮮半島の平和と地域の安全を頼もしく保証するための自衛的措置である。

 北朝鮮は、体制の安定のためには米国との「平和条約」を結ぶことが不可欠としている。それなくして米国による軍事侵攻の脅威はなくならないし、外国からの大規模投資や国際金融機関の融資を得て大きな経済発展をすることは不可能だからだ。

 この核実験は、昨年12月12日の「モランボン楽団」の北京公演中止で中国との関係悪化がきっかけとなっている。中国に配慮する必要がなくなったため、オバマ政権に対話を決断させるために核実験実施を決断した。

 米国のオバマ政権は、発足当初の予想を裏切って北朝鮮に対して何の政策も打ち出せずにきた。この危機的状況を劇的に変えることができるのは、米国の対話路線への転換だけである。(続く)

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
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