「万景峰92号」入港規制は解除されるのか?

 最高裁判所は6月20日、在日本朝鮮人総連合会の中央本部の土地・建物について、「マルナカホールディングス」への売却手続きを停止する決定をしました。日朝政府間協議の今後を左右する重要な懸案は、「政治判断」でとりあえず解決を先送りされました。

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が設置する日本人調査のための「特別調査委員会」をめぐり、近く次の日朝政府間協議が開催されます。日本政府はその内容によって、日本が独自に実施している制裁のうちの一部を解除することにしています。5月29日に発表された合意事項では次にようになっています。

 「北朝鮮側が包括的調査のために特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始する時点で、人的往来の規制措置、送金報告及び携帯輸出届け出の金額に関して北朝鮮に対して講じている特別な規制措置、及び人道目的の北朝鮮籍の船舶の日本への入港禁止措置を解除することとした」

 このうち「人的往来の規制措置」は、「日本人調査」のために日本の国家公務員が訪朝する必要が出てくることもあり全面的解除になりそうです。
 ところが入港禁止措置を解除する対象に「万景峰92号」(初代「万景峰号」という老朽化した別の船が羅先からの金剛山観光に使われている)が含まれるかどうかについては、日本と北朝鮮では解釈が異なっているのです。
 太田昭宏国土交通相は5月30日、「万景峰号については認めない。制裁解除に入っていないと官房長官も明言している」と述べ、「万景峰92号」は解除対象ではないとしました。一方、宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使は6月2日、「人道主義のための船舶なので、日本側と協議したい」と述べ、「万景峰92号」も対象になるという認識を示しています。

元山の万景峰92号
日本の制裁によって元山(ウォンサン)港に係留されたままの「万景峰92号」(2012年9月1日撮影)

 日本は北朝鮮に対し5月の日朝協議以降に、「特定失踪者」470人の調査を求めたり、2002年に提出した拉致被害者の安否に関する約150項目の質問書への回答を求めたりしています。合意した後に大きな要求を出し、ハードルを一気に上げたのです。これでは、“合意違反”と言われても仕方がないでしょう。

e_04.gif
関連記事
広告
広告
広告
プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: