北朝鮮との軍事的危機を高める「安保法案」

 政府は5月15日、集団的自衛権を行使できるようにするための安全保障関連法案を衆議院へ提出した。

 「自衛隊の」海外派兵をいつでも可能にするための「国際平和支援法案」と10の法案を束ねた「平和安全法制整備法案」だ。戦争・戦闘をしやすくするための法案であるにもかかわらず、「平和」の文字をつけるなど極めて欺瞞的なネーミングである。

 安倍首相は14日の記者会見で、法案提出の背景を説明した。

 「もはや一国のみで、どの国も自国の安全を守ることはできない時代であります。この2年、アルジェリア、シリア、そしてチュニジアで日本人がテロの犠牲となりました。北朝鮮の数百発もの弾道ミサイルは日本の大半を射程に入れています。そのミサイルに搭載できる核兵器の開発も深刻さを増しています。我が国に近づいてくる国籍不明の航空機に対する自衛隊機の緊急発進、いわゆるスクランブルの回数は、10年前と比べて実に7倍に増えています。これが現実です。そして、私たちはこの厳しい現実から目を背けることはできません」

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平壌市内の「衛星管制総合指揮所」を取材する海外メディア(2012年4月11日撮影)

 このように、「安保法案」が「朝鮮半島有事」を強く念頭に置いたものであることは明白である。

 政府は、北朝鮮の「特別調査委員会」からの報告が遅れていることに対し、経済制裁の再延長や朝鮮総連に対する強圧的な姿勢で応えた。

 これによって日朝関係は最悪な事態に戻りつつある。この法案提出は、それを決定的なものにするだろう。

 戦後70年の今、北朝鮮とだけでなく中国や韓国との関係も悪化したままだ。これは極めて異常な状況であり、明らかに日本の外交政策の失敗である。

 提出された法案はそのことを隠蔽し、国際紛争を軍事的に解決する道へと大きく踏み出そうとするものだ。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
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