建設ラッシュのために大規模浚渫

 私が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へ最初に行ったのは20数年前。その頃と今とでは何がもっとも変わったかと言えば、高層ビルが増えたこと。とりわけ金日成(キム・イルソン)主席生誕100年の2012年に向けて、古いアパートの改装や道路の再舗装から始まり、モニュメント的な巨大建築物が北朝鮮各地で造られました。その代表的なものが万寿台(マンスデ)地区の倉田(チャンジョン)通り高層アパート群。もっとも高い棟は45階建てです。
 生誕100年での最大の記念行事である閲兵式が行われた4月15日の金日成(キム・イルソン)広場。私はその式典会場にいました。軍事パレードが始まり、兵士や兵器が入場して来る東の方を見ると、絵に描いたように整った形の高層アパート群がその背景に並んでいました。実に見事な演出でした。

 現在も建設ラッシュが続いています。平壌(ピョンヤン)市内を流れる大同江(テドンガン)には、たくさんの浚渫船が浮かんでいます。こうした流れの緩やかな川では砂が堆積しやすく、それを放置すると川床が上がって水害を引き起こします。大雨が降った2007年8月には、大同江の堤防の隙間から流れ出る水を食い止めるため、たくさんの人が土嚢を積んでいるのを見ました。堤防決壊の一歩手前でした。
 現在、大同江で行われている浚渫作業は、それだけが目的ではありません。建設作業に必要なコンクリートを製造するため、川砂を確保しようとしているのです。大規模に浚渫が行われていることからすれば、これからもかなりの数の建設工事が行われるのでしょう。

大同江の浚渫船
羊角島(ヤンガクド)ホテル横の大同江に浮かぶたくさんの浚渫船(2014年4月30日撮影)

 5月13日、平壌市・平川(ピョンチョン)区域で、建設中の23階建てアパートが崩壊し、多数の死傷者が出ました。「朝鮮中央通信」は「住宅の施工をいい加減に行い、それに対する監督・統制を正しく行わなかった幹部らの無責任な行為によって重大な事故が発生」と報じました。平壌中心部での重大事故なので、異例の公表をせざるを得なかったのです。
 建設ラッシュの中で、同じように突貫工事で造られた高層ビルはたくさんあります。倉田通りの高層アパートの工事現場を見ていたら、たくさんの人が人海戦術で建設しているようすが良く分かりました。同じような時期に完成した他の建築物の安全性に問題はないのでしょうか。

建設中の45階建て高層アパート
万寿台地区の45階建て高層アパートの建設工事(2011年11月3日撮影)

e_04.gif
関連記事
広告
広告
広告
プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: