辻出紀子さん失踪を「よど号グループ」に質した(下)

 警察庁の「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者」リストに載っている辻出紀子さん。「よど号グループ」が関係しているとする人もいる。

 「グループ」6人が暮らすのは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の首都・平壌(ピョンヤン)市郊外にある「日本人村」。2014年9月26日、その事務所において「グループ」のリーダーである小西隆裕さんに対し、アパートの彼の部屋でインタビューをした。

自宅の小西さん
自宅でインタビューに応じる小西隆裕さん(2014年9月26日撮影)

質 問  1988年に失踪した「特定失踪者」の辻出紀子さんについて知っていることはないか。
小 西  辻出紀子さん? 1988年? 正直言うて、辻出さんという名前はまったく知らないし、会ったことないですよ。まったく知らないですよ。まったく、本当に知らないです。
質 問  「よど号グループ」と関係なく自らの意思で北朝鮮へ渡ったかも知れないが、消息を知らないか。
小 西   まったく知らないです。

 このように、辻出さん失踪への関与を完全に否定しただけでなく、北朝鮮で会ったこともないと断言した。小西さんは驚いた表情をしながら答えたが、そこからは不自然さは感じられなかった。

 この失踪事件への北朝鮮の関与について、ライターの西牟田靖さんは、次のような結論を出している。

 北朝鮮の拉致については荒唐無稽な話だと思っている。特定失踪者問題調査会の人たちが失踪者のリストに載せたり、産経新聞が拉致の可能性をほのめかすような記事を書いてはいる。しかし、彼らの主張は人づてによる間接的な情報であったりしてどれも信憑性に欠けるように思えた。
 例えば、調査会の関係者が、彼女が北朝鮮に行ったことを証拠づけるものとして、辻出さんが残したメーリングリストに残したメールのことを挙げている。 (略)証拠だと主張するメールは、彼女が単に悪のりして「北朝鮮に行きたい」と書いているだけで、彼女自身が行く手段を模索したり、回りのメンバーが彼女に抜け道的な特別な渡航方法を教えたり、といった書き込みはどこにも見当たらなかった。(「東京BREAKING NEWS」2014年12月4日)


 公表されている情報では、北朝鮮や「よど号グループ」が辻出さんを拉致ないしそれに関与した可能性などまったく考えられない。北朝鮮による拉致の規模を大きく見せたい、という政治的な思惑を持っている人たちが、辻出さん失踪を利用しているだけのようだ。

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こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
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