辻出紀子さん失踪を「よど号グループ」に質した(上)

 1998年11月24日、三重県伊勢市で雑誌編集者の辻出紀子さん(当時24歳)が失踪。それから約10年後の2008年9月8日に、「産経新聞」が下記のような記事を掲載した。

北、新たな拉致疑惑 10年不明の辻出さん 政府に情報、再捜査へ
今年春ごろに政府関係者が北朝鮮事情に詳しい中朝関係筋から「辻出紀子さんという方が北朝鮮にいるのではないか」との情報が寄せられていた。この際、日本側は「辻出さんの『つ』の字も出さなかったのに、先方から辻出さんの名前をフルネームで言った」(関係者)という。


高層アパートと柳京ホテル
主体(チュチェ)思想塔からの平壌(ピョンヤン)市内(2014年9月25日撮影)

 辻出さん失踪に関して、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の名が突然、出てきたのである。それを受けて「特定失踪者問題調査会」はその日のうちに辻出さんの両親とともに記者会見し、同会の「不明者リスト」に登録していることを発表したのだ。

 そして失踪から16年後の2014年になり、新たな動きがあった。

 今年3月にはある行方不明者について注目すべき動きがあった。三重県で'98年に行方不明になった辻出紀子さんの名前が、密かに警察庁の「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者」リストに加えられたのだ。辻出さんは以前から拉致された疑いが濃厚だったが、これまでは北朝鮮に拉致されたとはみなされなかった。ところが、この3月に三重県警が辻出さん一家を訪ねて、家族に「辻出さんの名前をリストに入れてもいいか」と申し出たという。(「フライデー」2014年6月6日)

 このように辻出さんの失踪を、民間団体だけでなく警視庁も“北朝鮮による拉致の可能性”があるとしたのだ。
 ライターの西牟田靖さんの記事(「東京BREAKING NEWS」への連載)によれば、辻出さんは「トラベル・メーリングリスト」に入っていて北朝鮮について次のような投稿をしている。

――私も北挑戦、もとい北朝鮮、行きたい! 行きたい! インタビューするなら、やっぱ20世紀の負の遺産ともいえる? 金正日しかないでしょう! あの髪はカツラなのかも、ぜひ聞いてみて下さいまし。
――慶州の世界文化エキスポでの北朝鮮のパビリオンってどんなのでした? 興味あります。詳しく教えてください。北朝鮮の生活を再現したパビリオンなんでしょうか。
――平壌オフ。前代未聞の企画だ。エベレスト山腹でワイン持ってバーベキューするようなものですね。でも、行きた~い! 2000年を平壌で迎えるというのは如何?


 そして辻出さん失踪に「よど号グループ」が関係していると疑っている人たちがいるというのだ。
  西牟田さんは、「特定失踪者問題調査会の関係者であるM氏」から「辻出さんは北朝鮮に自ら渡り、よど号グループへのインタビューに成功した後、姿を消した」と聞いているという。そして「中朝関係者からの未確認情報によると、よど号グループのいた村に彼女が滞在していたという噂も聞いている」と書いている。

 「よど号グループ」に、自分から会いに行ったのであれば「拉致」ではない。だが私は「グループ」と会って、質してみることにした。(続く)

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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