米国の北朝鮮への制裁強化は日朝協議に影響する

 予想もしていなかったことで、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と米国との関係がさらに悪化しそうだ。

 米国連邦捜査局(FBI)は12月19日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の暗殺を題材にした劇映画「The Interview」を制作した「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)」へのサイバー攻撃は北朝鮮の犯行であると断定した捜査結果を発表。それを受けたオバマ大統領は、北朝鮮に報復措置を取るとの意向を明らかにした。

 FBIによるその根拠は次の3点。
① サイバー攻撃に使われたウイルスの設計図が、北朝鮮でかつて開発されたものと似ている
② ウイルスのIPアドレスの多くが北朝鮮の施設のものである
③ 昨年3月に北朝鮮が韓国の金融機関とマスメディアへ行ったサイバー攻撃と手口が似ている

 こうした米国の動きに対し北朝鮮外務省報道官は20日、自国の関与を改めて否定し米国との共同調査を提案した。このサイバー攻撃はSPE内部関係者が関与し、北朝鮮の犯行に見せかけようとしたものとの見方がある。

 北朝鮮は1948年の建国以来、最高指導者を極めて大切にしてきた国家である。価値観は国によって異なるものであり、そのことは尊重されるべきだ。それを理解できずにコメディー映画で金正恩第1書記を扱ったのは、正面からけんかを売ったようなものだ。

 そもそも、「世界のソニー」がこのようなB級映画を制作したことにもあきれるが、一企業に対するサイバー攻撃に対して米国は政府として北朝鮮にリスクを冒してまで報復するというのは異常である。

祖国解放戦争勝利記念館正面
北朝鮮の米国への対決姿勢を現している「祖国解放戦争勝利記念館」(2014年4月30日撮影)

 米国は2008年に北朝鮮への「テロ支援国家」指定を解除したが、再指定を検討しているという。米国がそうした強硬措置を取るならば、北朝鮮が核実験を実施する可能性もあり、米朝の軍事的緊張は一気に高まるだろう。そうなれば、「日本人調査」をめぐる日朝政府間協議にストレートに影響するのは確かだ。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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