「トランプタワー平壌」建設の可能性

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と米国は互いに牽制しながら、6月12日の首脳会談での合意内容を固めようとしている。そうした中で、米朝関係改善後のさまざまな話が流れている。

 その中に、平壌(ピョンヤン)に「トランプタワー」を建設するという話がある。4月26日、韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は「北朝鮮が望む体制保障は、大同江(テドンガン)に「トランプタワー」が建ち、平壌市内にマクドナルドが開店することだ」と語った。米国資本の商業施設ができれば、北朝鮮は米国の軍事攻撃を受けないための担保を得ることになるというのだ。

 北朝鮮の首都に、米国資本の高層ビルが造られることなどあり得ないと誰もが思うだろう。ところがかつて、同じような計画があったのだ。

北関大捷碑
吉州へ戻った北関大捷碑(2009年10月18日撮影)

 私は2005年から翌年にかけて、北関大捷碑(ほっかんたいしょうひ)という石碑の返還の一部始終を取材した。豊臣秀吉による朝鮮侵略の際、朝鮮北部の吉州(キルジュ)において地元で組織された義勇軍が加藤清正軍を撃退。この石碑は、それを記念して1709年に建立された。

 これを日露戦争で朝鮮へ派兵された日本軍が持ち帰り、靖国神社の境内に置かれてきた。それを韓国の研究者が見つけ、返還への動きが始まる。靖国神社所有の文化財を、北朝鮮へ帰そうという無謀とも思える計画だ。

 当時は南北関係が良かったため、日本・韓国・北朝鮮の仏教者たちが連絡を取り合った。私は、日本の窓口になっている僧侶をたびたび取材。その中で、1枚の文書を見せられて驚いた。返還のため、靖国神社と北朝鮮との仲介について記された「世界貿易センター連合」のトゾリ総裁によるものだった。

 総裁が北朝鮮と強いつながりを持つようになったのは、平壌に「世界貿易センタービル」を建設する計画があったからである。石碑の返還を決断した靖国神社に対し、トゾリ総裁からは感謝状が贈られたという。

 このように米国資本は、北朝鮮への大規模な経済的進出のチャンスを狙い続けてきた。日本は朝鮮植民地支配時に北朝鮮の豊かな鉱物資源について詳細な調査をしており、米国は最近も東京の「国立国会図書館」でそれを閲覧したという。

 極めて勤勉な労働力と豊かで多様な鉱物資源がある北朝鮮。トランプ大統領は、北朝鮮との関係改善が実現すれば、怒涛のように経済援助と投資を進めるのは確かだ。この巨大な利益の前には、異常なまでの北朝鮮バッシングの結果としてまったく身動きできなくなった安部首相など見捨てるだろう。
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プロフィール

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フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
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