北朝鮮 大気圏核実験の危険性

 9月22日、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の李容浩(リ・ヨンホ)外相は、太平洋で水爆実験を実施する可能性を示唆した。つまり大気圏の内か外、ないしは水中で核実験をするかも知れないというのだ。

閲兵式の歩兵
金日成(キム・イルソン)広場での軍事パレードの歩兵(2017年4月15日撮影)

 これが報じられてから、それをはったりだとする見方が数多く出ているが、そうではない可能性もある。北朝鮮の核・ミサイル開発は、米国による体制保障を得るためのものだが、太平洋での大気圏核実験は今までの地下核実験と比べ米国に与えるインパクトは比較にならないほど大きい。

 米国本土へ届く核兵器搭載ミサイルの完成が近づき、北朝鮮は米国と対等に交渉できる時がきたと判断したようだ。トランプ大統領が就任した今年1月以降、北朝鮮当局者が米国の共和党関係者や政府当局者らとの非公式接触を続けてきた。

 現在、北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソニ)北米局長が、モスクワでロシア外務省と会談を行なっている。米国との交渉の仲介を依頼していると思われる。これからは米国への核ミサイルでの威嚇をしながら、本格交渉開始に向けて積極的に動くだろう。だがそれが行き詰まれば、大気圏内核実験に踏み切る可能性は高い。

 1945年7月6日、米国が史上初の核実験を行ない、8月6日に広島、9日に長崎に原爆を投下。それ以降、ソ連・英国・フランス・中国・インド・パキスタン、そして北朝鮮が核実験を実施。その数は2379回にもなる。そのうち大気圏内核実験は502回で、1980年の中国の実施から止まっている。

 大気圏内核実験は、大量の放射性降下物(死の灰)を広範囲な地上と海上に振り撒いて放射能汚染を引き起こす。1954年3月1日、米国はマーシャル諸島共和国のビキニ環礁で、「ブラボー」と名付けた水爆実験を実施。日本の漁船856隻が被爆し、「第5福竜丸」の無線長だった久保山愛吉さんが半年後に死亡した。

 こうした大気圏内核実験によって、地球全体が放射能汚染された。福島の原発事故の後に報じられたように、その時に降り注いだプルトニウムが、いまでも測定できるほどだ。検証は難しいが、ガン・心臓病・脳卒中などの成人病が増えたのもその影響が疑わしい。

 人類とすべての生き物の未来のために、これ以上、地球を汚染してはならない。いかなる理由があっても、大気圏での核実験はやめるべきだ。もちろん、少なくても数百万人の命を奪う核戦争には絶対反対である。
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フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
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