北朝鮮は制裁に耐えられる社会

 9月11日、「国連安全保障理事会」は、6回目の核実験を行なった北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対し、追加制裁の決議案を全会一致で採択。米国は中国とロシアの賛成を得るため、当初の厳しい内容を緩めた。

勝利化学連合企業所
羅先(ラソン)経済特区にある製油所「勝利化学連合企業所」(2015年6月22日撮影)

 決議内容は、北朝鮮へのガソリンと軽油などの石油関連品の輸出を30パーセント削減した200万バレルに制限し、年間7億6000万ドル(約830億円)と推定されている北朝鮮からの繊維製品の輸出を禁止した。

 「国連安保理」による北朝鮮への制裁は、2006年からこれで9回目。今回は石油輸出の制限といったかつてない厳しい内容だが、北朝鮮の核・ミサイル開発に打撃を与えることはまったくないだろう。

 それは北朝鮮という国は、輸出入に大きく依存しない自立した社会を長年にわたって目指してきたからだ。1950年代半ばに中国とソ連(当時)の対立が進む中で、北朝鮮はそれら大国に左右されない自力更生の道を模索。マルクス・レーニン主義を独自解釈したその考えを「主体(チュチェ)思想」とした。

 それ以来、政治・経済・文化などにおいて外国に左右されない社会づくりのために、地道な努力をしてきたのである。1990年代にはソ連崩壊や水害・干ばつの自然災害などがあって大きく後退したこともあるが、歩みはゆっくりではあるものの着実に独自の道を歩んできた。

 韓国銀行は7月21日、北朝鮮の2016年の国内総生産(GDP)が前年比で3・9パーセント増加したことを発表。今回の追加制裁でその経済成長率が続くのは困難と思われるが、制裁で大きく後退することはあり得ない。

 13日に北朝鮮は、追加制裁に対して「外務省報道」を発表。「わが国の正々堂々たる自衛権を剥奪し、全面的な経済封鎖でわが国家と人民を完全に窒息させることを狙った極悪非道な挑発行為の産物。峻烈に断罪・糾弾し、全面的に排撃する」と非難した。

 おそらく北朝鮮は、核・ミサイルが完成するまで新たな実験を続けるだろう。米国は制裁強化や軍事攻撃の威嚇によって北朝鮮を力で屈服させようとしているが、その行きつく先は韓国と日本を巻き込んだ戦争である。トランプ政権がそれを避けようとするなら、対話へと舵を切るしか選択肢はないのだ。
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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
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