トランプ政権の北朝鮮政策が見えてきた!

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が、1月1日に「新年の辞」を発表。金正日(キム・ジョンイル)総書記の時代は「労働新聞」などの「共同社説」として施政方針を打ち出していたが、2013年からは金委員長が演説で公表するようになった。

平壌高層ビル群
「主体(チュチェ)思想塔」からの平壌市内(2015年6月27日撮影)

 今年の内容にも注目すべき点がいくつかある。まず一つは、演説の最後に異例にも最高指導者としての苦悩を語ったことだ。

 「新しい一年が始まるこの場に立つと、私を固く信じ、一心同体となって熱烈に支持してくれる、この世で一番素晴らしいわが人民を、どうすれば神聖に、より高く戴くことができるかという心配で心が重くなります。いつも気持ちだけで、能力が追いつかないもどかしさと自責の念に駆られながら昨年を送りましたが、今年は一層奮発して全身全霊を打ち込み、人民のためにより多くの仕事をするつもりです」

 他の注目点は、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」の発射実験の現状に触れたことだ。
 「帝国主義者の日増しに悪らつになる核戦争の脅威に対処したわれわれの初の水爆実験とさまざまな攻撃手段の試験発射、核弾頭爆発実験が成功裏に行われ、先端武力装備の開発が活発化し大陸間弾道ロケット試験発射準備が最終段階に入ったことをはじめ、国防力強化のための驚異的な出来事が相次いで連続して起きたことによって、祖国と民族の運命を守り、社会主義強国建設の偉業を勝利に向けて前進させていくことのできる強力な軍事的保証がもたらされました」

 北朝鮮は米国による体制保障を得るために核・ミサイル開発を進めてきたのであり、これはトランプ次期政権に対話を求めるメッセージである。これに対して米国務省のカービー報道官は「(北朝鮮は)現時点で核弾頭を大陸間弾道ミサイルに搭載する技術を持っていない」とした。

 そしてトランプ次期大統領は3日、ツイッターで発言。「北朝鮮は米国本土まで到達可能な核兵器開発の最終段階に入ったと宣言したが、米国政府としてはそうはさせない(North Korea just stated that it is in the final stages of developing a nuclear weapon capable of reaching parts of the U.S. It won't happen!)」とした。これは明らかに北朝鮮への強い牽制である。

 この発言に対して中国政府はその日の記者会見で、北朝鮮問題をエスカレートさせることは避けるように願うとした。

 韓国の「朝鮮日報」(1月4日付)によれば、トランプ次期大統領が先月に米情報機関から初めて受け取った機密報告書は北朝鮮の核問題に関するものだった。また先月末には、同氏に最も近い人物が訪韓して「国家情報院」の李炳浩(イ・ビョンホ)院長と極秘で会ったという。

 このことはトランプ政権が外交政策において、北朝鮮を極めて重視している可能性があることを示している。

 日本では、トランプ政権が北朝鮮との対話路線に踏み出すのではという希望的観測がまだ多い。だがトランプ政権は北朝鮮への強硬派が支えようとしており、たとえ対話を試みたとしても成功する可能性は低いだろう。

 対話路線が破たんすれば、米韓が訓練を繰り返してきた北朝鮮への軍事攻撃を実行する可能性がある。その布石のような動きが韓国にある。4日に韓国「国防省」は、「国防政策報告」を公表。「朝鮮半島有事の際に、平壌(ピョンヤン)などへ潜入し北朝鮮指導部を排除する特殊部隊を、今年の早い時期に創設する」とした。この「斬首作戦」部隊創設は、予定を2年前倒しにしたものだ。

 朝鮮半島情勢は、一気に危険な状態に陥るかも知れない。今の日本のあり方では、北朝鮮へ米韓が軍事攻撃をすればそれに加担することになり、報復を受ける可能性もある。今こそ日本外交は、戦略的な視点に立ち対米追随から脱却すべきだ。

e_04.gif
関連記事
広告
広告
広告
プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: