「自民党大勝は北朝鮮のおかげ」発言は正確

 麻生太郎副総理は26日、衆院選で自民党が大勝したことについて「明らかに北朝鮮のおかげもありましょう」と発言。これに対して野党から批判が出ているが、それは間違いである。

三池淵の子どもたち
三池淵(サムジオン)の屋外で歌う子どもたち(2017年8月13日撮影)

 安倍首相は、米朝の軍事的衝突が起きる前にとの理由で解散・総選挙を行ない、選挙では「国難」という言葉で「北朝鮮の脅威」を最大限に煽った。麻生副総理の述べたように、自民党大勝の大きな理由はまさしく「北朝鮮」だったのである。

 安倍首相の極端な米国隷属の政策によって、日本の外交力は確実に衰退しつつある。10月27日、軍縮問題を扱う「国連総会第1委員会」で、日本政府が提出した「核兵器全廃をめざす決議案」の採択が行なわれた。

 日本政府は24年連続でこの決議案を提出しているが、賛成は昨年の167カ国から144カ国へと減少。賛成が減った理由は明確である。今年7月に「国連総会」で採択された「核兵器禁止条約」に、米国などの核保有国だけでなく、米国の「核の傘」の下にある日本も反対した。

 日本政府の決議案は、国際社会の核廃絶に向けての画期的な前進である「核兵器禁止条約」に触れることもせず、内容は昨年のものよりも大きく後退。その一方で、「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核・ミサイル開発の脅威」を強調している。

 トランプ政権は原子力空母を3隻も朝鮮半島周辺に配備し、いつでも北朝鮮に軍事攻撃できる態勢にしている。しかもその攻撃では、小型核兵器を使用する可能性もある。そうした中で日本政府は米国に「忖度」し、このような腑抜けの「決議案」を出したのだ。

 28日朝、もう一つ大きな出来事がニュースになっていた。スペイン北東部にあるカタルーニャ自治州の州議会は27日、「独立宣言」決議を賛成多数で可決した。独立を阻止しようとするスペイン政府のさまざまな強権発動を覚悟しての決議である。

 「民族自決」のために犠牲と苦難をいとわないカタルーニャ。それに比べ、米軍の沖縄での数々の横暴に対しても容認し、軍事だけでなく政治・経済でも米国に依存し続ける日本・・・。この国の100年後、200年後を見据えた政治家はいないのか。

北朝鮮残留日本人番組 CS・インターネット放送案内

 テレビ朝日系列「テレメンタリー2017」の「あの日のりんご ~北朝鮮唯一の残留日本人~」は地上波での放送を終了。この後、次のように放送される。

荒井琉璃子と孫
残留日本人・荒井琉璃子さんと孫(2017年8月8日撮影)

<CS放送>
テレ朝チャンネル2  11月24日(火)9:45~10:10

<インターネット放送>
Abema news  11月4日(土)17:30~/11月5日(日)11:30~

北朝鮮 安倍首相は米国追随で日本を危険に陥れるな!

 米国CNNは10月16日、「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)政府関係者」の話を報じた。北朝鮮は、米国東海岸に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)が完成するまでは米国との交渉に応じないとしている。

捕虜の人形
「祖国解放戦争勝利記念館」に展示されている朝鮮戦争での米兵の人形(2017年4月12日撮影)

 トランプ大統領の11月5日からの日本・韓国・中国訪問を前に、16日より米韓合同軍事演習が行なわれている。今年になって3回目の、最新兵器を大量に動員した大規模演習である。「演習」といってもそのまま奇襲攻撃に移ることが出来るので、北朝鮮は毎回、強く反発している。

 また10月23日から27日まで、韓国で暮らす米国の民間人を国外へ退避させる「非戦闘員退避活動」が実施される。

 先の北朝鮮政府関係者は、米韓合同軍事演習やトランプ大統領のアジア歴訪中に大気圏核実験やICBM発射を実施する可能性についても言及した。

 日本などのマスメディアは、北朝鮮の核・ミサイル実験を「挑発」とし、米韓合同軍事演習を「牽制」と呼んでいる。だが、どう考えても米韓合同軍事演習も北朝鮮への挑発でしかない。正確に言えば、双方が相手に対して軍事的威嚇をしているのだ。

 そうした米朝だが、非公式のいくつかの接触は行なわれているようだ。「6カ国協議」に参加した関係国で、北朝鮮との対話を放棄して圧力一辺倒なのは日本だけである。現在の危機は米朝対立によるものであるにもかかわらず、安倍政権は米国よりも熱心に「北朝鮮の脅威」を国際社会にアピールしている。

 この行為は日本にとって極めて危険である。米朝での戦闘や戦争が始まったならば、それに対する反撃として「敵国」日本へミサイルが発射される可能性を高めているからだ。

現在の日本の「危機」は安倍首相が、第1次政権の時からコツコツと築いてきたものだ。この米朝危機を機会として、日本の対米追随政策を根本的に転換すべきだ。

放送案内 北朝鮮唯一の残留日本人

 今年8月の14日間にわたる北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)取材のメインテーマだった残留日本人について、テレビ放送の日時が確定した。

荒井さん
取材した荒井琉璃子さん(2017年8月7日撮影)

 北朝鮮に残留する日本人の取材は、3年前に計画して交渉をしてきた。今年4月に咸興(ハムン)市在住の荒井琉璃子さんの存在が明らかになり、いくつかのテレビ局が特集番組制作の計画を進めてきた。そうした中でいち早く、私の単独取材が認められた。歴史の闇に消えようとしていた北朝鮮残留日本人の記録を、かろうじて残すことが出来た。

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テレメンタリー2017
「あの日のりんご ~北朝鮮唯一の残留日本人~」

終戦からずっと北朝鮮で暮らしている日本人女性がいる。荒井琉璃子さん、84歳。残留日本人の多くが高齢化で亡くなる中、唯一、その存在を知られているのが荒井さんだ。今回、特別に許可を得て単独取材を行うことに成功。なぜ荒井さんは帰国できなかったのか。荒井さんの運命を大きく分けたのは、“りんご”だった。現在は、息子と孫夫婦、ひ孫の5人で暮らす荒井さん。「早く国交が正常化してほしい」。国家間の争いに翻弄され続けた一人の女性の人生を追った。
撮影・取材:伊藤孝司/制作:朝日放送

<放送日時>
※放送時間は都合により変更になる場合があります。
=地上波放送=
 テレビ朝日 10月15日日曜日0430~0500
      http://www.tv-asahi.co.jp/telementary/
 北海道テレビ放送(HTB) 10月21日土曜日2530~2600
 青森朝日放送(ABA) 10月16日月曜日2605~2635
 岩手朝日放送(IAT)  10月22日日曜日2615~2645
 東日本放送(KHB) 10月17日火曜日2556~2626
 秋田朝日放送(AAB) 10月21日土曜日2555~2635
 山形テレビ(YTS) 10月14日土曜日2620~2650
 福島放送(KFB) 10月15日日曜日2540~2610
 新潟テレビ21(UX)  10月14日土曜日0520~0550
 長野朝日放送(abn) 10月14日土曜日2600~2630
 静岡朝日テレビ(SATV) 10月16日月曜日2625~2655
 北陸朝日放送(HAB) 10月15日日曜日2615~2645
 メ~テレ 10月19日木曜日0429~0455
 朝日放送(ABC) 10月15日日曜日0455~0525
 広島ホームテレビ(HOME) 10月16日月曜日2625~2655
 山口朝日放送(yab) 10月16日月曜日2541~2611
 瀬戸内海放送(KSB) 10月15日日曜日0550~0620
 愛媛朝日テレビ(eat) 10月20日金曜日0425~0455
 九州朝日放送(KBC) 10月22日日曜日2640~2710
 長崎文化放送(NCC) 10月15日日曜日0450~0520
 熊本朝日放送(KAB) 10月16日月曜日2615~2645
 大分朝日放送(OAB) 10月16日月曜日2615~2645
 鹿児島放送(KKB) 10月15日日曜日0520~0550
 琉球朝日放送(QAB) 10月15日日曜日2535~2605
=CS放送=
 テレ朝チャンネル2 11月24日(火)9:45~10:10
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プロフィール

伊藤孝司

Author:伊藤孝司
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は約200回で、そのうち朝鮮民主主義人民共和国へは40回以上です。現在、年2~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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