「核兵器禁止条約」に賛成した北朝鮮

 10月27日、軍縮を扱う「国連総会第1委員会」で「核兵器禁止条約」など核兵器の法的禁止について来年3月から交渉開始をするとの決議が、123カ国の賛成多数で採択された。

プエブロ号の浮わ
北朝鮮に鹵獲された米軍情報収集艦「プエブロ号」の浮輪(2016年8月22日撮影)

 米ロ英仏の核保有国だけでなく、米国の「核の傘」にある韓国や「北大西洋条約機構(NATO)」の加盟国など38カ国が反対、中国など16カ国が棄権した。何と、唯一の戦争被爆国である日本はこの画期的な決議に反対したのである。被爆者たちからは「裏切り行為」との声が上がっており、日本が国際社会に長年にわたって働きかけてきた核廃絶の努力をぶち壊した。

 今年になって2回の核実験を実施し、今まさに核開発を強力に推し進めている北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は決議に賛成した。これは、自国の核開発は米国からの核攻撃を防ぐための手段との基本的姿勢からのものだろう。北朝鮮は5月の朝鮮労働党大会における金正恩(キム・ジョンウン)委員長の活動報告で、核保有を位置づけている。

 「責任ある核保有国として、敵対勢力が核で朝鮮の自主権を侵害しないという前提における核の先制不使用・核不拡散の立場を確認した上で、世界の非核化を実現するために努力する」

 日本が決議に反対した理由を、岸田文雄外相は「決議は核兵器国と非核兵器国の対立を助長し亀裂を深める」と語った。安倍晋三首相は、核保有国が反対する決議に賛成すると日本主導の他の核廃絶決議が理解されなくなる可能性があると釈明した。これらは、苦し紛れの詭弁にしか過ぎない。

 今回も露呈した安倍政権のなりふり構わぬ対米追随の姿勢は、本気で「核なき世界」をめざす国々から侮蔑と嘲笑を受けることだろう。もはや日本には、北朝鮮の核開発を非難する資格がないのは明らかだ。

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北朝鮮 タバコを吸うチンパンジー批判は筋違い

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の首都・平壌(ピョンヤン)市にある「中央動物園」は7月24日にリニューアルオープンした。かつては見ていて悲しくなるような寂しさだったが、行動展示も取り入れて大きな変貌を遂げた。

中央動物園
「中央動物園」での動物ショー(2016年8月24日撮影)

 そこで飼育されている19歳のチンパンジー「アゼリア」が、タバコを吸っているとAP通信が伝えた。この園内には動物ショーを行う施設もあり、私が8月に取材した時には、入場しようとする市民が行列していた。

 このチンパンジーの喫煙について、日本の民放やインターネット上で数多くのバッシングが行われている。だが、それには大きな違和感がある。

 日本など多くの国で、さまざまな動物を使ってのショーが行われている。日本のほとんどの水族館は、イルカ・オットセイ・シャチなどのショーを目玉にしている。

 「世界動物保護協会」は、世界で55万匹の動物が観光アトラクションで苦しんでいるとする。自然界よりもはるかに大きなストレスが溜り、寿命を縮めている。そのため世界では、動物園や水族館での動物ショーをやめるところが増えている。

 北朝鮮で、動物に芸をさせていることは間違いである。しかし、何の疑問も抱かず動物ショーを続けている日本にはそれを批判する資格はない。昨年5月には「日本動物園水族館協会」が、イルカの入手方法をめぐり「世界動物園水族館協会」から会員資格停止をされている。

 北朝鮮にもあるという問題点を、鬼の首を取ったように報道するのは間違いである。他国を批判する前に、自国がどうなのかを検証するべきだ。

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北朝鮮 外務省日本担当者らが異動

 『週刊金曜日』2016年10月14日号に掲載した拙稿を紹介する。

朝鮮外務省日本担当者らが異動 対日政策後退の表れか

 「朝日新聞」(10月7日付)は複数の日朝関係筋の情報として、日朝両政府関係者が9月3日~4日に、中国の大連市内で接触したとみられると報じた。日本側から外務省アジア大洋州局の参事官ら3人が出席、と具体的だ。しかし岸田外務大臣と菅官房長官は同日、この秘密接触を否定した。

 「福岡県日朝友好協会」は、今月5日に宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使と平壌(ピョンヤン)市内で面会。日本との交渉責任者が交代していないことが確認された。ところが私の朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)取材で、外務省日本担当者が次々と人事異動になったことが分かった。

 6月1日に、外務省の趙炳哲(チョ・ビョンチョル)日本担当研究員を単独インタビューした。部下の許成哲(ホ・ソンチョル)さんの、北京の朝鮮大使館への異動を明らかにし、外務省の日本担当者が減少していることを嘆いた。その2カ月後、趙研究員も日本担当から外れて他の部署へ異動していることが判明した。

 この二人は2012年からの日本人埋葬地への調査・墓参団受け入れを担当し、14年5月のストックホルム合意や日朝のさまざまな交渉に関わるなど重要な役割を果たしてきた。この異動が意味することは、日本人調査のための「特別調査委員会」が今年2月に解散し、当面は日本との積極的な交渉をしないということだ。

 私は8月25日に「朝鮮対外文化連絡協会」の孫哲秀(ソン・チョルス)日本局長に単独インタビューをした。局長は「日本当局の朝鮮に対する独自制裁措置が撤回されない限り、朝日関係の改善は考えられない」と語り、日本政府が検討している独自制裁のさらなる強化を牽制した。

 これが朝鮮の今の、日本への基本姿勢であることは間違いないだろう。そのため、日朝秘密接触が行なわれていたとしたら、朝鮮側は制裁撤回を交渉の前提として提示したものと推測される。

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北朝鮮との交渉チャンネルが米国より少ない日本

 10月10日の朝鮮労働党創立71周年に、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が核実験やミサイル発射実験がするのではと、日本のどのマスメディアも大きく報道。

清津の銅像と人々
清津(チョンジン)で銅像に献花する女性たち(2015年6月19日撮影)

 北朝鮮をめぐるわずかな動きでも細かく伝えているにも関わらず、重要な動きでありながらほとんど触れようとしていないことも多い。

 先週、北朝鮮外務省の国連担当である李東一(リ・トンイル)氏が、国連総会第一委員会において発言。

 「わが国は米国の敵視政策により自衛目的で核兵器を持った。国家の主権を脅かされない限り、わが国は責任ある核保有国として核兵器を最初に用いることはない」

 北朝鮮は今までにもたびたび核兵器の「先制不使用」を表明してきた。しかし日米韓は、政府だけでなくマスメディアもそれを黙殺している。

 他にも最近の動きで、日本で報じられていないことがある。「ニューヨーク・タイムズ」は8日、ビル・リチャードソン前ニューメキシコ州知事の側近が率いる米国の民間訪問団が9月24日~27日まで北朝鮮を訪れたと報じた。

 この訪問団は、朝鮮戦争で戦死した米兵の遺骨発掘の再開、北朝鮮で拘留されているバージニア大生の釈放、北朝鮮北部の台風被害への支援などについて議論したという。

 ホワイトハウス「国家安全保障会議(NSC)」のネッド・プライス報道官はこの代表団に対し、「人道主義的努力を支持する」と明らかにした。

 北朝鮮ともっとも厳しく対峙している米国でも、多数の対話のチャンネルを持っている。ところが「北朝鮮憎し」一色の日本は、一切の対話・交流を認めようとしない雰囲気のままだ。その責任は、極端な北朝鮮バッシングを続けてきた安倍首相にある。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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