北朝鮮 「ビール祭り」へ2回も行ってしまった!

 8月20日から、今年2回目の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)取材を行った。前回からわずか2カ月にもかかわらず、いろんな変化があった。

ビール祭り全景
「ビール祭り」は、クルーズ船「虹(ムジゲ)号」を含めた大同江沿いで実施(8月24日撮影)

 その一つが、平壌(ピョンヤン)市内を流れる大同江(テドンガン)の川岸で「平壌大同江ビール祝典」が開催されていたことだ。

 平壌郊外にある「大同江ビール」工場を取材したことがある。英国の廃業したビール会社の製造プラントを輸入し、10種類近くのビールを製造。こくと旨みのある味は市民に圧倒的な人気を得て、他の銘柄を駆逐してしまった。

 「ビール祭り」は、8月12日から月末までの午後7時から12時まで営業。ここで提供されるビールは7種類で、50~250朝鮮ウォン。サイズは大ジョッキだけ。この国では、瓶ビールも大瓶しか製造されていない。酒は豪快に飲むのが当然なのだ。

 21日の午後7時半に行ったところすでに席はなく、会場の片隅で立ったまま飲むことになった。次々と来場者があり、通路にも人が溢れている。

ビール祭りウェイトレス
制服姿の女性従業員たちが、ビールジョッキを持って走り回る(8月24日撮影)

 うまいビールが屋外で飲めるだけでなく、人々と触れ合うこともできるため、 24日は営業開始時間前に会場へ行った。ところが席を確保するために、たくさんの人たちがすでに入場していた。

 平日であるにもかかわらず、この日もあっという間に人で溢れる。座っているのが外国人であることが分かっていても、「相席させてくれ」と次々と声をかけてくる。こうした事はこの国では極めて異例なことだ。

 あまりにも大人気なため、この「ビール祭り」は9月9日まで延長されることになった。平壌市民に経済的ゆとりがさらに生まれていることもあるが、娯楽施設が少ない中で、屋外の開放的な雰囲気の中でビールを飲む朝鮮初のビアーガーデンという企画が大ヒットした理由だろう。

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朝鮮民主主義人民共和国の「自力更生」農業(下)

制裁強化の中で脱石油への取り組み

 穀物収穫量を大きく回復させた朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)では現在、食料の質を高める取り組みが行われている。また慢性的エネルギー不足のなかで、化石燃料に頼らない農業への取り組みも進む。

洗浦畜産基地
「洗浦地区畜産基地」の広大な牧草地と農場員たち

 山のすそ野に広がる草原に、たくさんのウシが草を食んでいる。「愛国牛(エグクソ)」と名付けられた大きな体のこの肉牛は、1982年から日本より輸入された「短角牛(たんかくぎゅう)」が基になっている。ここの大根で作った沢庵が、日本へ輸出されたこともある。
 ここは江原道(カンウォンド)の「洗浦(セポ)地区畜産基地」。韓国との軍事境界線に近いこの場所で、一大国家プロジェクトが推進されている。

●草食家畜を育てる
 国連「世界食糧計画(WFP)」は6月27日、「北朝鮮支援事業報告書」を発表。それによると朝鮮国民のタンパク質と脂質の摂取量は、国際基準の70~85%だという。

 穀物生産量が急速に増加しつつある朝鮮は、食料の栄養価を高め多様化させる大規模な取り組みを行っている。「社会科学院経済研究所」の金光男(キム・グァンナム)農業経営研究室長に話を聞く。
 「『草と肉を取り替えるように』というのは、偉大な指導者たちの遺訓です。わが国は耕地面積が少ないため、穀物飼料での畜産には期待できません。草食家畜を育てることがもっとも適した方法です」

 それを大規模に実施しているという「洗浦地区畜産基地」へ向かう。日焼けした任泰元(イム・テウォン)洗浦地区牧草地局長が出迎えてくれる。洗浦地区は海抜が600メートル以上あり、海からの強風が吹いて冬は氷点下30度にもなるので農業には不適だという。この畜産基地の牧草地面積は約5万ヘクタールもある。本格的な建設が始まったのは12年12月からで、ウシにもっとも力を入れているがヒツジ・ヤギ・ウサギ・ブタも飼育。軌道に乗れば、世界屈指の畜産基地になるとのこと。
 「加工工場が稼働すると、食肉だけでなく缶詰・ソーセージや、ヨーグルト・バターといった乳製品も生産する予定です。来年は、5000トンの食肉生産を目標にしています」

 「高山(コサン)果樹農場」は、「洗浦地区畜産基地」と元山(ウォンサン)市との中間に位置する。崔宗寿(チェ・チョンス)支配人が対応してくれた。
 「09年6月に、金正日(キム・ジョンイル)総書記の指導で、人民軍の大部隊が派遣されました。78もの小高い山を削って平地にしたのです」
 岩だらけの不毛の地を果樹園にしたという。農場面積3500ヘクタールのうち、果樹を植えているのは2850ヘクタール。その70パーセントがリンゴで、他はナシ・モモ・スモモなど。現在の収穫量は年1万トンほどだが、果樹が成長する20年には6万トンを計画している。

広大な水田
土地整理がされた水田で田植えが行なわれている

●有機肥料生産を重視
 朝鮮の大地を航空機の窓から見ると、大きな貯水池とともに大規模な水路も目につく。それについて「价川(ケチョン)・台城(テソン)湖水路」の記念館を訪れ、案内人の説明を聞いた。
 「金正日総書記は、大同江(テドンガン)の水で灌漑する自然流下式水路を発案し、02年10月に竣工式を行いました。約10万ヘクタールの農地で、水の心配がなくなったんです」

 1990年代後半に続いた大洪水で、平安南道(ピョンアンナムド)の新安州(シンアンジュ)など炭鉱の坑道が水没した。発電できなくなり電力供給が減少、農業用の揚水機が動かなくなった。その反省から、わずかな標高差を利用する灌漑システムが建設された。
 「この水路は全長151・4キロメートルありますが、標高差は23・2メートルです。そんなわずかな落差で水が流れるのかと人々は心配したのですが、科学者たちはその問題を克服して完成させました。揚水機など536の設備が不要になり、約6万キロワットの電力を削減しました」

 朝鮮では有機肥料の生産に力を入れている。どの農場でもたくさんのブタを飼育。その排泄物と都市から運んだ人糞を、稲わらなどと混ぜ発酵させる。こうして有機肥料を生産。南浦(ナムポ)市の「青山(チョンサン)協同農場」では年間約60トンを生産し、化学肥料の使用を約1トンにまで減らしたという。
 「家畜の排泄物で有機肥料を作り、それを穀物生産で使う。この生産システムの目的は、資源のリサイクルだけでなく質の良い農産物を作ることです」
 このように前出の金室長は語る。化学肥料の製造には、石油などの輸入が必要。朝鮮はそれに依存できないこともあり、有機肥料生産を極めて重視しているのだ。

●壮大な試みの未来は
 農業現場での、他の新しい取り組みもある。「将泉(チャンチョン)野菜専門協同農場」で「農業科学技術普及室」を見せてもらう。まだ若い室長が、パソコンを操作しながら説明をしてくれた。

科学技術普及室
協同農場の「農業科学技術普及室」

 「14年6月にここを訪れた金正恩(キム・ジョンウン)委員長の指示で工事が始まり、1年後に完成しました。私は大学を卒業してすぐに、ここへ配属されました。農場員たちは、午後5時から遠隔教育を受けています」

 朝鮮のさまざまな施設に、数十台・数百台のパソコンが並ぶ光景は珍しくなくなった。海外とインターネットでつながっているものは少ないものの、国内は光ファイバーによるコンピューターネットワークが構築されているようだ。農場員たちは農作業が終わってから、ここで大学の授業を受けているという。私は、彼らがこれらを使いこなせているのか聞いてみた。
 「農場員のみんなに1カ月間の講習をしました。彼らの家にもパソコンがあるので、ここで資料をダウンロードして自宅でも学習できます」
 他のインフラ整備が遅れている中で、「科学技術と生産の一体化」という方針に基づき、ITを極めて重視した政策が進められている。

 朝鮮は1948年の建国以来、大国によるさまざまな形での干渉を受け続けてきた。そのため、政治・経済・軍事において自立を目指す必要があった。そうしたなかで、東欧諸国とソ連の崩壊や「国連安全保障理事会」などの制裁もあり、農業を含めた自力更生の道しかなかった。
 90年代後半の国家存亡の危機から抜け出し、経済状況は次第に改善。政府の農業への投資も増えた。大規模な灌漑システム構築と土地整理、有機肥料への切り替え・節水型農法・品種改良などを実施。そして「圃田(ほでん)担当責任制」という、農場員の生産意欲を強く刺激する新たな制度を導入した。これらの取り組みの上に、急速な食糧生産の増加がある。

 そうした朝鮮だが、今後には大きな不安定要素がある。「国連安保理」などによる制裁の強化だ。これついて「社会科学院経済研究所」の李基成(リ・ギソン)教授に聞いた。
 「わが国は輸出主導の経済ではなく、自立経済の土台がしっかりしています。また地下資源に恵まれており、制裁の影響はわずかです」

 朝鮮はいずれ、5回目の核実験を実施するだろう。それに対しては、民生用の石油を含め輸入はさらに厳しく制約されると思われる。そうした事態への対応について質したが、明確な答えは得られなかった。
 自力更生によって自国だけで完結でき、石油への依存を減らした持続可能な社会を目指す朝鮮。環境に関するさまざまな取材をしてきた私にとって、注目すべき取り組みだ。その壮大な試みの未来は、この国をめぐる国際的な政治状況によって決まるだろう。

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朝鮮民主主義人民共和国の「自力更生」農業(上) 生産意欲を一気に高めた新制度

 今年5~6月に行なった朝鮮農業の取材を『週刊金曜日』に掲載した。それを2回に分けて紹介する。なお誌面には(上)9枚・(下)10枚の写真と、詳細な写真説明を掲載している。

 1990年代後半に農業生産システムが崩壊し、多くの餓死者を出した朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)。ところが現在、食糧生産が着実に増えている。この国の知られざる農業政策と、金正恩(キム・ジョンウン)時代の新農業制度について取材した。

農場員たち
「将泉野菜専門協同農場」で子どもたちの競技に声援を送る農場員たち

 子どもたちの歓声が聞こえてくる。「6・1国際児童節」の記念行事をしているというので、託児所へ行ってみる。前庭は身動きできないほどの人であふれ、完全にお祭りムードだ。日焼けしたたくさんの農場員が、小さな子どもたちの競技に割れんばかりの声援を送っている。この「将泉(チャンチョン)野菜専門協同農場」は首都・平壌(ピョンヤン)へ野菜を供給している。

 ところが次に訪ねたすぐそばのトマト温室では、何人かの女性が一心不乱に働いていた。この温室を担当する「分組」責任者に話を聞くと「収穫が増えると自分に与えられる量も多くなるようになった。今では以前の2倍」とうれしそうに語る。楽しんでいる場合ではない、ということのようだ。農場員たちの生産意欲を高めたのは、「圃田(田畑、ほでん)担当責任制」という新農業制度なのだ。

●壊滅した90年代の農業
 朝鮮は1990年代後半に、「苦難の行軍」と呼ぶ国家存亡の危機に直面。原因のひとつは、東欧のいくつもの社会主義国が89年から、ソ連が91年に崩壊したことだ。朝鮮はそれらの国とバーター貿易や友好価格で石油などを入手していた。農業は、輸入する化学肥料・農薬・機械に大きく依存していたが、供給が一度に途絶えてしまう。キューバも同じ状況に陥ったが、朝鮮の場合はそれに追い打ちをかけて95年から毎年のように洪水と干ばつに襲われた。農業生産は壊滅的打撃を受ける。

 朝鮮で生産しているおもな穀物は、コメとトウモロコシ。91年から800万トンを超えていた穀物生産量は、96年に200万トン近くにまで落ち込んでしまう。深刻な食糧不足で、少なくても20万人が餓死した推測されている。

●「主体農法」の現状は

 「社会科学院経済研究所」の金光男(キム・グァンナム)農業経営研究室長に話を聞いた。
 「金日成(キム・イルソン)主席の『社会主義農村問題に関するテーゼ』には農村問題を終局的に解決する方法が綴られています。『テーゼ』実現の過程で、より高くなった農業生産の水準に合わせて打ち出されたのが金正日(キム・ジョンイル)総書記の『党の農業革命方針』です。これらに、わが国の農業方針がすべて出ています」

 これは「主体(チュチェ)農法」と呼ばれており、「少ない耕地で食糧自給を図り、厳しい自然条件を克服するための知恵の集大成」としている。だが海外からは、多くの批判があった。「精神論のみでやり抜く事を要求するというもので、伝統的な経験農法も科学的知識に基づく近代農法もまったく無視していたため失敗」(「ウィキペディア」)

傾斜地の果樹園
草で土砂流出を防ごうとしている傾斜地の果樹園

 その象徴的な事例とされたのが、山の上まで続く段々畑である。これは農地を増やすために、70年代初めに全国一斉に造られたという。しかし大規模な段々畑は、森林を伐採することで山の保水力を落とし、養分だけでなく大量の土砂を流出させる。そして河床が上がることで、洪水が起こりやすくなる。このことについて、金室長に聞いた。

 「現在は、草畦(くさあぜ)段々畑という方法にしています。石を積み上げた畦は、崩れると修復に手間がかかりますが、草を植えた畦だとそうしたことがないからです」

 最新技術を展示する「科学技術殿堂」に草畦段々畑の模型が展示されているほどで、段々畑を減らすことは不可能なようだ。次に、朝鮮での稲作の問題点として指摘されてきた「密植」について聞いた。すると「坪あたりの株数は、農場や地域ごとに決めている。土壌の状態が良ければ密植し、そうでなければ疎植にしている」とのこと。この取材で多くの水田を注意深く見たが、密植といえるものはなかった。

●「圃田担当制」の成果

 朝鮮の農業制度は「協同農場」が基本となっている。ここにはいくつかの「作業班」があり、さらに「分組」に分かれている。「分組は農場員の労働と生活での末端単位で、十分に機能を果たすことができるかどうかで農業生産が左右される」と金室長はその重要性を強調する。

 この「分組」をさらに分けたのが「圃田担当責任制」だ。人数が20~30人の「分組」だと、苦労せずにノルマを消化した人がいても労働の評価が一律になってしまうことがある。それを是正するために、さらに細かく分けたのである。

 この新制度は、個人から数人単位で一定の広さの田畑などを担当。収穫した農作物は、決められた量を政府へ納付すれば、あとは収穫量に応じて農場員へ分配される。収穫量が増えれば増えるほど自らの利益が多くなるのだ。金室長は次のように語った。「圃田担当責任制は、農場員たちの主人としての自覚を高め、自分の力ですべてやり遂げようとする自力更生の精神を強くさせました」

 「圃田担当責任制」が対外的に公表されたのは、14年2月に開催された「全国農業部門分組長大会」へ金正恩委員長が送った書簡だった。その中で「分配における平均主義(略)は農場員の生産意欲を低下させる」とし、「圃田担当責任制」で労働に応じて分配での差別化をはかることが明確にされた。これまでの朝鮮農業は増産のために精神的刺激だけ与えていたが、「圃田担当責任制」で物質的刺激も加えたのである。500キログラム~1トンを受け取る農場員も珍しくないという。

 南浦(ナムポ)市にある「青山(チョンサン)協同農場」は水田を中心にして910ヘクタールあり、農場員は1200人。10の作業班があり、その下の各「分組」の構成は農産4・野菜1・畜産1・トラクター1となっている。長英洙(チャン・ヨンス)管理副委員長に話を聞く。
「この農場では、12年に圃田担当責任制を導入しました。6~8人で構成していますが、家族単位ということではありません。今では個人主義がなくなり、生産意欲が高まりました。その結果、1ヘクタール当たり7~8トンだった米の収穫量は2・5トン増加し、トウモロコシは8トンだったのが3トン増えています」

温水器
温水器とソーラーパネルが備え付けられている「将泉野菜専門協同農場」の住宅

●改善された食糧不足

「社会科学院経済研究所」の李基成(リ・ギソン)教授によれば、朝鮮の穀物生産量は12年度が529万8000トンだったのが、13年度562万4000トン、14年度571万3300トンと急速に増えた。李教授の試算では、食用だけでなく、工業原料用・畜産用を含めた必要量は約700万トンなので、まだ穀物は不足している。まだ15年の統計は未発表だが、深刻な干ばつによって数年ぶりに減少。その代わりに植えたコムギ・ジャガイモ・マメなどが埋め合わせたという。変動はあるものの、食糧事情が改善に向かっているのは確かだ。私は金室長に、取材で訪れたのは「模範農場」ばかりで、成功例を見ただけではないのかと質した。

 「圃田担当責任制と、先進的な営農技術・肥料という条件が揃った農場では収穫量が大きく増えました。ですが自然災害の影響があったり、技術的に立ち遅れていたり、品種選択が間違っている農場はそうではありません」
 まだ解決すべき課題は多いようだ。しかし朝鮮の農業が、外国からの資金・機械・技術などがあまり入ってこない中で、壊滅的状況から着実に回復してきたことに驚く。
                                        (続く)

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北朝鮮とオバマ政権の「核先制不使用」宣言

 米国・オバマ政権は、爆発を伴う核実験の禁止を呼びかける「国連安全保障理事会」決議案を提出する方針だ。また、核兵器を先に使わないという「先制不使用」の宣言なども検討しているという。

銀河3号模型
「未来科学技術殿堂」に展示されている「銀河3号」の模型(2016年6月1日撮影)

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が核兵器とその運搬手段である弾道ミサイルを開発してきたのは、米国による核を含む先制攻撃を防ぐことが最大の目的である。

 米国は北朝鮮に対し、核攻撃を行おうとしたことがある。1968年1月に、米国の情報収集艦「プエブロ号」が朝鮮人民軍に拿捕された。米国は北朝鮮に核兵器を使用しようとしたが、自国にまで被害が及ぶとして韓国が反対。使用される寸前で中止された。

 今年5月に開催された「朝鮮労働党」の第7回党大会で、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は次のように述べている。

 「わが国は責任ある核保有国として、核を保有する敵意ある攻撃的な国によって主権が侵略されない限り、核兵器は使用しない。われわれはすでに宣言している通り、核不拡の義務を忠実に果たし世界の非核化に努める」

 このように核兵器の先制不使用を明言しているのだ。つまり米国によって攻撃・侵略されない限り、核兵器は使用しないということだ。ましてや、核保有していない日本や韓国に対する核攻撃はあり得ない。日本のマスメディアはこの事を伝えず、核・ミサイルを「脅威」として煽り立てている。

 残りの任期が半年を切ったオバマ政権であるが、米国が核の「先制不使用」を宣言すれば、朝鮮半島の緊張緩和が大きく進む可能性がある。

 ところが、オバマ政権のこの動きの足を引っ張っているのが日本政府である。米国の「核の傘」で守られている日本は、北朝鮮や中国への抑止力が低下することを懸念しているというのだ。

 安倍政権はそればかりか、「日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべき」(「正論」2011年3月号)と主張した稲田朋美氏を防衛大臣に任命した。

 唯一の原爆被爆国の首相が、核廃絶へ向けてのささやかな流れさえ押しとどめようとしている。広島・長崎の被爆者たちの苦しみ・悲しみ・怒りを受け止めているのなら、こうした愚かなことはできるはずがないのだが。

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(8月17日追記)

 8月15日の米国「ワシントン・ポスト」によると、オバマ政権が検討している核兵器の「先制不使用」政策に対して、安倍首相がハリス米太平洋軍司令官に反対の意向を伝えていたことが明らかになった。北朝鮮への抑止力が弱体化するというのが理由だ。

 朝鮮半島の安定と平和へ重要な役割を果たすであろう政策を潰そうとする安倍政権。「戦争ができる日本」にするためには、「北朝鮮の脅威」がなくなっては困るのだろう。

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北朝鮮 農業生産増加の理由を現地で取材

 『週刊金曜日』2016年8月5日・12日合併号と19日号に「朝鮮民主主義人民共和国の『自力更生』農業」と題した記事と写真を、各号4ページで掲載します。5日・12日合併号の(上)には「生産意欲を一気に高めた新制度」というサブタイトルをつけています。

協同農場の農場員たち
協同農場の託児所で、子どもたちの競技を見る農場員たち(2016年6月1日撮影)

 1990年代後半に農業生産システムが崩壊し、多くの餓死者を出した朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)。ところが現在、食糧生産が着実に増えています。この国の知られざる農業政策と、金正恩(キムジョンウン)時代の新農業制度について取材しました。

 この取材は、2年前に交渉を開始してようやく実現させたものです。外国人ジャーナリストが初取材の場所を訪ねたり、農業関係者たちへの詳細なインタビューをしたりしています。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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