北朝鮮 平壌で見たピカチュウ

 7月22日から日本でもスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」の配信が始まった。まだサービスが開始されていない韓国でも、軍事境界線に近い束草(ソクチョ)などでは利用できる。

 北朝鮮と韓国の境界は北緯3 8度線だったが、朝鮮戦争によって軍事境界線に代わった。その位置は、東側地域では38度線より北側にある。このゲームはGPSを使用しているため、38度線以北を韓国ではない地域として設定されているようだ。

 つまり北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)でも、「ポケモンGO」ができる状態にあると思われる。だだし、インターネットに接続できるスマートフォンが必要である。

 取材のために平壌(ピョンヤン)市内の帰国者の自宅へ行くと、居間に置かれたピアノの上にピカチュウがいた。

ピカチュウ
帰国者が大切にしているピカチュウ(2009年4月16日撮影)

 これは帰国者の女性が、日本にいる母親から送ってもらったものだという。大切に飾られているピカチュウから、会うことのできない母親への思いが伝わってきた。

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北朝鮮 日本人埋葬地の“開発”再開で収容困難に

 「週刊金曜日」2016年7月1日号に、私が行った朝鮮外務省への単独インタビューの記事を掲載した。

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 朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は6月22日、中距離弾道ミサイル「火星(ファソン)10号」の発射実験を成功させた。このミサイルは米軍基地があるグアムまで届くと推定されており、金正恩(キム・ジョウン)委員長は「米国を攻撃できる確実な能力を持った」と述べている。「国連安全保障理事会」は、この発射を非難する「報道声明」を23日に発表した。

外務省日本担当
朝鮮外務省の趙炳哲・日本担当研究員(2016年6月1日撮影)

 これに先立つ6月1日、朝鮮外務省の趙炳哲(チョ・ビョンチョル)日本担当研究員が平壌(ピョンヤン)市内の「高麗(コリョ)ホテル」で単独インタビューに応じた。

 日朝関係だけでなく米国・韓国との関係や「6カ国協議」復帰についても回答があったが、オフレコとされた。「朝日関係は2014年5月の『ストックホルム合意』前よりも悪い状態になり、死んだのも同然です。原因は日本が『安保理』制裁だけでなく、独自制裁も実施し、『合意』を守らなかったことです。人工衛星打ち上げを、日本だけがミサイル発射として非難したのはわが国を主権国家として認めていないということです。それに耐えかねて(日本人調査のための)『特別調査委員会』を解体しました」

 朝鮮は1月6日に核実験、2月7日に人工衛星打ち上げのためのロケット発射を行った。それに対して日本政府は、独自制裁の強化を2月10日に発表。その二日後に「特別調査委員会」を解体した。責任は日本政府にあるという。

 そして趙研究員は、日本政府の独自制裁強化で交渉の環境が完全に失われたことへの怒りを何度も口にし「独自制裁を撤廃しない限り、日本との対話はあり得ない」と断言した。朝鮮は、交渉のハードルを上げたのである。次に核開発を続ける理由について述べた。

 「米国が(朝鮮半島)南半部と日本に軍事基地を置いているので、核兵器を開発してきました。わが国を、ここまで押しやったのは米国です。このことを日本政府は認識すべきなのに、米国よりもっとひどい対応をしています」

 そして日本への警告ともいえる厳しい発言をした。
「朝米が軍事衝突すると、日本はそれに巻き込まれます。わが国の核とミサイルはどこへ飛んで行くのか。潜水艦で、日本の沖合からも発射できます。日本は惨めな状態になるでしょう」

 米国との戦争になれば、米軍基地がある日本への核攻撃もあり得るというのだ。そして「日本は米国の朝鮮敵視政策にぶら下がるのをやめて、自主外交路線をとるべきです」と語った。

日本人埋葬地消失の危機

 趙研究員は話を終えると部屋を出て行こうとしたので、私は強く引き止めて喫茶室へ入った。まだ、聞かなければならないことがあるからだ。

 朝鮮外務省は12年から、朝鮮各地に残る日本人埋葬地への日本からの墓参団を受け入れてきた。遺族だけでなくメディア各社の多人数による取材も許可。二つの団体が12回の墓参を実施した。こうした積み重ねの上に「ストックホルム合意」が生まれた。

 墓参団受け入れを担当した趙研究員に、日本人遺骨問題の今後について質した。すると、「特別調査委員会」解体で拉致被害者を含む日本人に関する調査をすべて中止したことにより、保留していた日本人埋葬地での果樹園建設などの開発計画は再開されるとした。つまり確認されている集団埋葬地も破壊され、遺骨収容ができなくなる可能性が出てきたのだ。そして今後の墓参団の受け入れについては、明確な返事がなかった。

 朝鮮外務省だけでなく、外国人観光客を受け入れている「朝鮮国際旅行社」でも日本担当者の人数が減っているという。今回の取材で政府機関や多数の事業所で話を聞いていて、日本への関心が急速に低くなっていることを痛感した。日本政府の長期にわたる制裁によって「ヒト・モノ・カネ」だけでなく、文化や技術交流さえ遮断され続けたためだろう。

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北朝鮮の電力不足が緩和した理由は

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対する「国連安全保障理事会」による制裁開始から5カ月が過ぎた。中国からの輸入品の価格が上昇したという話も出ている。また中国への石炭輸出が減少したことによって、火力発電所の稼働率が上昇して電力不足が緩和したという。

平壌夜景
平壌の高麗ホテルからの夜景(2016年6月2日撮影)

 5月~6月に平壌(ピョンヤン)と元山(ウォンサン)で滞在した10日間には、一度も停電がなかった。元山のホテルでは、どの時間でもお湯が出た。

 電力事情が良くなった理由は、輸出できなくなった石炭を国内消費に回したということだけではない。その理由は、水力発電所が順調に稼働していること。昨年と一昨年は深刻な水不足によって水田の苗が枯れてしまうほどだったが、今年はそうしたことがない。

 他の理由は、中国にあまりにも依存している経済構造の改善をはかっていることだ。核・ミサイル実験は、中国との貿易が極端に減少することを承知で実施した。北朝鮮としてはそれを転機として、中国依存経済から脱却しようとしているのではないか。

 成功するかどうかは未知数だが、長期にわたる「安保理」などの制裁を受け続ける中で、北朝鮮は自国だけで完結する社会をつくろうとしているのは確かだ。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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