北朝鮮 労働党大会に向けての文書が届いた!

 25日の夕方、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の政府機関から、5月上旬に開催される「朝鮮労働党」第7回大会に関する文書がメールで送られてきた。

3人の肖像画
最高指導者たちの肖像画(2012年4月15日撮影)

 各道・市において開催された党代表会で金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が第7回大会の代表に推戴されたことにより、国中がお祝いのムードに溢れているとしている。そして、下記のように党大会を位置づけている。

 「第6回大会より36年ぶりに開催されるこの度の第7回の党大会はチュチェ革命偉業の遂行において歴史的な分水嶺として、さらには我が革命偉業の最後の勝利を繰り上げるための目覚ましい設計図を提示する歴史的な大会となるでしょう。これまでわが人民は朝鮮労働党の指導のもとに戦争に匹敵する厳しい試練と難関を乗り越え、我々の生命であり、生活である社会主義を守り抜き、帝国主義連合勢力のもっとも悪辣な制裁圧殺策動を粉砕して強国建設の一筋道を歩んできました」

 また、最高指導者たちについて次のように述べている。

 「我が人民は今の誇り高い祖国を立ち上げ、守ってくださった金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記に限りない感謝と敬慕を捧げており、国力を最高の境地に到らせ社会主義強国建設の最盛期を開いておられる金正恩第1書記への信頼と尊敬の念を抱いて、第1書記の正しい指導のもとに第7回の党大会に向けて展開されている70日キャンペーンにおいて目覚ましい奇跡と建設神話を創造しています」

 その「奇跡と建設神話」がどういったものか大いに関心があるが、具体的な記載はない。

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北朝鮮からの郵便物が開封された!

 郵便受けに、見たことのない封書が入っていた。日本ではほとんど使われていない濃い茶色の封筒。不審なのはそのことではなく、封書の一辺に細かな文字を刷り込んだ透明なテープが貼られていることだ。開封した箇所に、封をしているのだ。

開封された郵便物
開封された郵便物

 送り主は「朝鮮民主主義人民共和国放送委員会」と書かれている。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)で、出版・放送を担当している政府機関である。私はまったく面識がない。

 封筒のサイズは28センチ×15センチ。テープが貼られているのと反対側を開封する。中に入っていたのは、英字紙「PyongYang Times」。平壌(ピョンヤン)で発行されている週刊紙で、27×39センチメートルのタブロイド版で、カラー印刷8ページ。手紙は入っていない。

 開封箇所に貼られたテープには「税関検査のため開封されたものを、弊社にて再装しました」「日本郵便株式会社」とある。税関検査のために開封されたのだ。これは異常事態である。

 私はこの数年間だけでも、海外の多くの国へたくさんの大型の郵便物を発送したし、受け取ったこともある。韓国とは封書だけでなく、小包のやり取りもしている。だが、それらが開封されたことは1度もない。にもかかわらず、北朝鮮からの郵便物が開封されたのだ。

 「憲法」第21条第2項において、通信の秘密は個人として生きていく上で必要不可欠な権利として保障されている。そして「郵便法」では、第8条で郵便物の検閲を禁止し、第9条第1項・第2項に秘密の保護が明記されている。

 また「郵便局」のウェブサイトには「ラベルを確認し、郵送禁止物品の疑いのあるものやラベルの記載のないもの等は、X線を通して確認したり、開封して確認します。基本的には手紙は開封することはございません」との記載がある。

 私への郵便物は「郵送禁止物品の疑い」をかけられたのか、手紙ではないと判断されたために開封されたことになる。だが私に届いた封書は、外から触っただけでも中はわずかな量の紙だということが分かるし、X線検査をすれば変わった物が入っていないことは容易に判断できたはずだ。

 にもかかわらず私への郵便物は開封されて中を調べられたが、その理由が分からない。封書の表には白い小さな紙が貼られていて、「川崎東郵便局第3国際郵便部」との記載がある。そこへ電話することにする。

 外国からの郵便物についての担当だという総務部長と話す。
 「国内6箇所の郵便局が、外国からの郵便物を扱っている。開封検査は、日本郵便社員の立ち会いのもとに税関が実施している。検査が終わったものに日本郵便が封をして配送している」

 つまり「日本郵便」は税関による開封検査に立ち会い、開封された郵便物の再包装をしているだけだというのだ。「川崎東郵便局」での検査は「横浜税関」が担当しているというので次にそこへ電話する。

 「横浜税関」総務課長の話によれば、開封は「税関法」第76条に基づいて実施したという。第76条は次のようだ。
「税関長は、輸出され、又は輸入される郵便物中にある信書以外の物について、政令で定めるところにより、税関職員に必要な検査をさせるものとする」

 そして課長は「北朝鮮からの貨物は輸入禁止になっているので、どういう内容か検査しなくてはならない。信書以外で輸入が認められるのは新聞や本くらい」と言う。私への封書は開封した結果、新聞だったので「輸入」が認められたという。


 「信書しか入っていないのが明らかなものでも開封するのか」と私が聞くと、「信書かどうかは現場の判断」と言う。私へ届いた封書には長い手紙だけが入った「信書」だった可能性もある。だが税関は、信書ではないと判断して開封した。
「開封」は「通信の秘密」の権利に触れる重大な行為であるにもかかわらず、その基準は極めてあいまいなのだ。

 税関による基準が明確でない検査は、北朝鮮へ出入国する日本人・在日朝鮮人に対する日本の空港での荷物検査でも行われてきた。日朝関係が極度に緊張した時には日本出国時に、北朝鮮へ向かう乗客の荷物を、税関職員が厳しい検査をした。しかもその場所は航空会社のチェックインカウンター横であるため、通行人が見たり撮影したりできる状態でトランクを開けて入念な検査をしたのだ。個人のプライバシーなどまったく考えていない。

 また北朝鮮から日本へ戻った人への、空港での厳しい検査が続けられてきた。アントニオ猪木が、切手・新聞・タオルなどを没収されたときはニュースになった。ホテルのアメニティグッズまで没収するのは、その愚かさを嘲笑すれば良いだけのことだ。しかし、朝鮮学校の子どもたちのみやげ物を取り上げるのは、幼い心を傷つける非人間的行為である。

 日本政府は、北朝鮮へ制裁しようとしても打つ手がない。そのため北朝鮮とのやり取りや行き来をする個人に対し、陰湿な嫌がらせや腹いせを続けているのだ。それは市民の人権と権利を大きく侵害する行為であるにもかかわらず、その自覚がまったくない。「人権後進国・日本」の姿がここにもある。

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プロフィール

こだわりジャーナリスト

Author:こだわりジャーナリスト
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は200回近くで、そのうち北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へは数十回です。現在、年1~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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